ゼロエネルギー建築のメリットと実例


近年は温室効果ガスの削減やカーボンニュートラルの実現など、環境への関心が高まっています。そして、住宅業界でも環境を意識した持続可能な取り組みが求められています。その中でも、注目されているワードとして「ZEB(ゼブ)」が挙げられます。みなさん、このZEBというワードを耳にしたことはありますか?
ZEBとは、建物のエネルギー消費を削減して必要なエネルギーを再生可能エネルギーでまかなうことによって、年間のエネルギー収支をゼロにすることを目指すという建築物のことです。今回は、そんな今話題のZEBについて、メリットや実際の事例と合わせて詳しくみていきたいと思います。

ゼロエネルギー建築(ZEB)について

ZEB(Net Zero Energy Building)とは、建物内で消費するエネルギーを、収支ゼロにできる建築物のことです。省エネにより建物で必要なエネルギーを減少させ、使うエネルギーも建物内で作り出すという考え方です。関連する法律には、エネルギー効率を向上させる義務を課す「建築物省エネ法」があります。建築物省エネ法の基準を満たすことによってZEBが実現可能となるため、補完関係にあるということを知っておきましょう。また環境省では、ZEBは次のように定義されています。
『Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、「ゼブ」と呼びます。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです』

ZEBを実現するメリット

ZEBを実現するメリットは以下のとおりです。

・エネルギー効率の向上
・事業継続性の向上
・企業の信用力の向上

ZEBは省エネと創エネの両方が実現できるため、エネルギー効率の最適化が可能です。またエネルギー供給に関しては、環境負荷の軽減や災害発生時のエネルギー確保にもつながるため、事業継続性も担保できます。環境に配慮した取り組みは、企業の評価のひとつとされていることからも、信用力に加えて、ブランドイメージの向上にもつながります。

ZEBを実現した事例

それでは、ZEBを実現した事例についてみていきましょう。実際に、ZEB化した建物が作られた目的や達成している削減率なども含めて、ご紹介いたします。

①東急コミュニティー技術センターNOTIA

東急コミュニティー技術センターNOTIAは東京都内にあり、NearlyZEBを達成しています。ZEB化することによって、ZEB化した建物の特徴や管理方法を実戦的に学ぶことを目指して建設されました。結果として、太陽光パネルの設置や自然換気を活用して、エネルギー削減率は69%、創エネを含むと削減率75%を実現しています。

②松野町新庁舎及び防災拠点施設

松野町新庁舎および防災拠点施設は、愛媛県の松野町にある建物で、新庁舎のZEB化と地元木材を使用するという目的に基づき、設計・施工されました。実際に、木造でエネルギー削減率81%を達成しており「NearlyZEB」及び「BELS☆☆☆☆☆」の認証も取得しています。災害時にもエネルギー供給を確保できる設計となっていて、高効率空調機器や高性能室外機なども使用しています。地域の防災拠点として高い利便性と機能性を有する施設です。

③ZEB関連技術実証棟「SUSTIE」

「SUSTIE」は、三菱電機が建設したZEBの関連技術を実証するための施設です。この建物もZEBを達成しており、高性能な断熱材や効率的な空調システム、太陽光発電パネルなどが採用されています。エネルギー消費を最小限に抑える工夫や技術も多く取り入れられており、実証棟としての役割も担いつつ、得られたデータと知見は将来のZEB建築の設計や運用に活用されることが目的です。研究者や技術者が最新技術を実地で試験し、その成果を広く共有することによって、ZEBの普及を加速させることを目指しています。


ZEBは建物のエネルギー消費を削減し、なおかつ必要なエネルギーを再生可能エネルギーでまかない、結果年間のエネルギー収支をゼロにする建築物です。カーボンニュートラルを実現するための手段のひとつであり、住宅業界としても今後の動向に注目しておかなければなりません。現状としてはZEB化している建物はまだ少ないものの、今後はより範囲が広がっていくことが予想されるため、対応できる準備を行う企業も増えていくでしょう。pluswork福岡では、このように建築業界の最新情報や気になるトピックを随時配信しておりますので、ぜひ他の記事もチェックしてみてはいかがでしょうか?

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