建設工事は、さまざまな分野の専門工事が必要であり、ひとつの建設会社だけで、建物を建てることはできません。それらの専門工事を管理するには、建築施工管理技士の役割が必要不可欠となります。しかし建築施工管理技士は、具体的にどのような仕事なのでしょうか?そこで今回は、建築施工管理技士の仕事内容と、資格の取得方法について解説していきたいと思います!
建築施工管理技士とは
建築施工管理技士とは、建築工事の施工計画や現場での施工管理など、現場を指導・監督するための技術資格です。建築や、管理に関する幅広い知識を持つ証明となり、建築物の質や安全面の向上など、建設工事を適正に行うことに役立ちます。また、建築工事を請け負う企業においては、有資格者が多いほど施工技術力があると見なされるため、入札で有利になるというメリットもあります。そこで、建築施工管理技士の対象工事と年収について見ていきましょう。
建築施工管理の対象工事
建築工事に関連する以下の分野が、建築施工管理技士の対象者となります。
・建築工事、大工、左官、とび、土工、コンクリート
・石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事
・鋼構造物、鉄筋工事、板金工事、ガラス工事
・塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、建具工事
建築施工管理技士の平均年収
建築施工管理技士の平均年収は「400~600万円」と言われていますが、建築施工管理技士には1級と2級があり、1級では「500~1,000万円」、2級では「300~500万円」と差が生じることが多いようです。1級では規模を問わずに施工管理ができますが、2級では規模に制限があるので、給与に反映されていると考えられます。
建築施工管理技士の資格取得方法
建築施工管理技士の1級と2級での違いと、それぞれの取得方法は次の通りです。
・建築施工管理技士1級と2級の違い
建築施工管理技士の1級と2級は、どちらも建設工事の施工管理を行うという実務的な面では変わりはありません。しかし両者の大きな違いは、責任者として担当できる建設工事の「規模と役職」にあります。
1級では、大規模な建設工事の「監理技術者」として働くことが可能である一方、2級は中小規模の建設工事において「主任技術者」に留まるといった違いがあります。1級の資格を持つと幅広い業務を担当できるので、給与面でも有利になるのが特徴です。また、実地試験の科目にも違いがあり、1級が施工管理法(施工経験記述、安全管理、躯体施工、仕上施工、施工管理、法規)、2級では「建築・躯体・仕上げ」という試験問題が、異なる3つの種別に分かれています。各種別の出題範囲は、建築では施工管理法、躯体では躯体施工管理法、仕上げでは仕上施工管理法が受検科目となり、2級では種別で分かれている実地試験科目が、1級ではすべて問われるというのが大きな違いです。
・建築施工管理技士2級の取得方法
2級建築施工管理技士は、6月前期の学科試験と、11月後期の実地試験があり、学科試験に合格すると実地試験を受験することができます。一定の条件を満たして学科試験が免除になる場合、実地試験のみを受験する仕組みです。そして、学科試験と実地試験で問われる分野は、以下のものがあります。
【学科試験】建築学等、施工、施工管理法、法規
【実地試験】「建築」:施工管理法、「躯体」:躯体施工管理法、「仕上げ」:仕上げ施工管理法のいずれかひとつを受験
学科試験と実地試験の両方を受検する場合は、施工管理業務の実務経験と、指定学部卒の学歴といった受検資格を満たす必要がありますので、受検を考える際は、受験資格を満たしているかをしっかりと確認しましょう。
・建築施工管理技士1級の取得方法
1級の受検資格は、工事主任や現場代理人などの指導監督的な実務経験が必須で、最低でも3年以上の実務経験が必要となりますが、建築系や土木系といった指定学科の学歴の有無や2級建築士・2級施工管理技士合格者といった条件により、必要な実務経験年数が異なります。
受験に必要な実務経験年数が最短の3年以上の場合は、指定学科の4年制大学を卒業するか、または専門学校で高度専門士を取得し、卒業したケースです。一方、最長の実務経験15年以上が必要な場合は、中学卒業のみのケースです。専門士は短大卒と同等以上、高度専門士は大学卒業と同等以上の学力が認められる資格となるため、実務経験年数が考慮されていると考えられます。
また指定学科以外でも受験することは可能ですが、指定学科卒業と比べると、実務経験の年数が1年6か月~2年6か月ほど追加になるので、注意が必要です。
ただし、主任技術者や専任主任技術者の経験がある場合、指定の実務経験年数を短縮することも可能で、学科試験は6月、実地試験は10月にあり、実地試験の受検は学科試験合格者または1級建築士試験合格者で、学科試験の受検資格を満たす人が受検できます。1級の学科と実地試験の試験科目は、以下の分野から出題されます。
【学科試験】建築学、躯体施工、仕上施工管理、施工管理法、法規
【実地試験】施工経験記述、安全管理、躯体施工、仕上施工、施工管理、法規
1級の試験では、すべての建設工事の知識が問われるため、出題範囲が広く、2級と比べると難易度が高い試験となります。2級の実地試験の3種別もすべて含まれるので、長期的な勉強が必要となるでしょう。
建設工事の施工管理を行う建築施工管理技士は、建物を設計図通りに施工するため、必要不可欠な存在です。現場作業の施工管理に加えて、関係する専門工事業者との調整や建築士との連携など、現場以外での仕事も含まれます。ただし、1級と2級では担当できる工事の規模と役職が異なるため、国家試験も2級よりも1級の難易度が高くなります。幅広い業務ができる1級施工管理技士だからこそ、年収にも反映されるやりがいのあるお仕事だと言えます。1級、2級ともに実務経験が必要ですが、施工管理の仕事をしている方は、ぜひ受験することをおすすめします。pluswork福岡では、施工管理をしながら、施工管理技士を目指せる条件のある求人も掲載中です!気になる方は、ぜひpluswork福岡で検索してみてはいかがでしょう?